収入保障保険とは?共働きにこそ向いている理由|FPママが解説

保険

※保険の加入・見直しの最終判断はご自身の責任でお願いします。

死亡保険と聞くと、「亡くなったら3,000万円ドン!」という大きな一時金をイメージしませんか。

でも、少し考えてみてください。遺された家族が本当に必要としているのは、まとまった札束でしょうか。それとも、毎月続いていくお給料の代わりでしょうか。

家賃も、食費も、学費も、毎月やってきます。だとしたら、保険も「毎月届く」形の方が、生活にフィットするかもしれません。それが今日お話しする収入保障保険です。

元保険代理店で働いた私が、今まさに自分の家庭で再検討しているテーマでもあります。売る側と入る側、両方の目線でお話しします。

収入保障保険とは?|遺族に「毎月のお給料」が届く保険

収入保障保険は、契約者に万一のことがあったとき、遺族に毎月◯万円が、決めた期限まで届き続ける死亡保険です。

たとえば「月15万円・65歳まで」で契約した人が50歳で亡くなったら、遺族は残り15年間、毎月15万円を受け取れます。一時金でドンではなく、お給料のように毎月。

そして最大の特徴が、保障が三角形であること。

「四角形の保険」と「三角形の保険」

保障の”形”の違いから説明させてください。ここがわかると、収入保障保険の良さが一気に腑に落ちます。

普通の死亡保険(定期保険)は、契約している間ずっと保障額が同じです。グラフにすると四角形。1年目も10年目も、亡くなったときに遺族が受け取る金額は変わりません。

いっぽう収入保障保険は、時間が経つほど受け取れる総額が少しずつ減っていきます。毎月◯万円という給付は変わらないのですが、満了までの残り期間が短くなるぶん、トータルの受取額は減る。グラフにすると三角形になります。

亡くなった時期 定期保険(四角形)
受取総額
収入保障保険(三角形)
受取総額(月15万円・65歳満了の例)
40歳(残り25年) 3,000万円 月15万円×25年=4,500万円
50歳(残り15年) 3,000万円 月15万円×15年=2,700万円
60歳(残り5年) 3,000万円 月15万円×5年=900万円

※金額は説明用の仮の例です。特定の商品の数字ではありません。

「減るなんて損じゃない?」と思いますよね。私も最初はそう思いました。でも、ちょっと想像してみてください。

子どもが小さいうちに親が亡くなったら、これから大学卒業までの十何年分、育てるお金が必要です。でも、子どもがもう就職する年に親が亡くなっても、これから必要なお金はぐっと少ない。

つまり、遺された家族がこれから必要とするお金は、子どもの成長とともにだんだん減っていくんです。三角形は、この「必要なお金の減り方」とぴったり同じ形をしています。

四角形の保険は、子どもが大きくなった後も、小さい頃と同じ大きな保障にお金を払い続けます。三角形の保険は、必要な分だけに保障を合わせて、いらなくなる部分を最初から省いている。
だから——

収入保障保険のメリット|保険料が定期保険より安い

ムダを削っている分、収入保障保険は同じくらいの保障を四角形の定期保険で用意するより、保険料が安くなります。掛け捨てであることと、保障が少しずつ減っていく仕組みの合わせ技で、月々の負担を抑えられる。

「毎月いくら遺族に残したいか」で設計できるので、遺された家族の生活費から逆算しやすいのも実務的なメリットです。「3,000万円」と言われてもピンときませんが、「月15万円」なら生活のイメージが湧きますよね。

共働きにこそ向いている理由

ここからが本題です。収入保障保険は、実は共働き世帯と相性がいい保険です。

昔ながらの保険の考え方は「大黒柱の夫に、大きな死亡保障を1本」でした。専業主婦世帯のモデルです。でも共働きは構造が違います。家計の柱が2本あって、どちらか1本が折れても家計が傾く。妻の収入も、家計にとって「あって当たり前」の前提になっているからです。

だとすると、備え方も変わります。夫にだけ大型保障をかけるのではなく、夫婦それぞれに、必要な分の収入保障を掛ける。どちらが欠けても、その人の収入の穴を月々の給付で埋められるようにしておく。共働きの死亡保障は「1本の大黒柱」ではなく「2本の柱それぞれの補強」で考えるのが、私は理にかなっていると思います。

しかも収入保障保険は保険料が抑えめなので、夫婦2本立てにしても負担が重くなりにくい。
ここも共働き向きのポイントです。

見落としがちな「公的保障の谷」|遺族年金をやさしく整理

ここは共働き・子育て世帯が絶対に知っておくべきところなので、少し丁寧にいきます。「保険でいくら備えるか」は、まず公的な遺族年金でいくらもらえるかを知ってからでないと決められないからです。

会社員の遺族年金は「2階建て」

会社員(厚生年金に加入している人)に万一があったとき、遺族が受け取る年金は2階建てになっています。

1階:遺族基礎年金——子どものいる家庭に支給される、いわば「子育て応援」部分です。子どもの人数で金額が決まります(子1人なら年間およそ100万円台前半が目安)。

2階:遺族厚生年金——亡くなった方のこれまでの厚生年金の加入実績(給料の水準や加入期間)をもとに計算される部分です。要件を満たす配偶者に支給されます。

時期 受け取れる遺族年金 家計の状態
子どもが高校卒業まで 1階+2階(両方) 公的保障が手厚い
子どもが大学生の間 2階のみ(1階が終了) ⚠️ 教育費ピークと重なる「谷」

問題は、1階が「高校卒業」で終わること

ここが今日いちばん大事なポイントです。1階の遺族基礎年金は、子どもが18歳になった年度末まで——つまり、おおよそ高校を卒業するタイミングで終わります。

その後は2階の遺族厚生年金だけになります。2階建てが、1階建てになるわけです。

考えてみてください。子どもが高校を出て大学に進むと、学費も仕送りも、お金は一番かかる時期に入ります。なのに、ちょうどそのタイミングで遺族年金の1階部分がなくなる。他県の大学に進めば、住居費や仕送りでさらに支出は膨らみます。

教育費のピークと、公的保障が薄くなる時期が、きれいに重なってしまう。
これが家計の「谷」です。多くの人が、この谷の存在を知らないまま保険を検討しています。

この谷を、期間限定の収入保障保険で埋める

谷の正体がわかれば、対策はシンプルです。「子どもが大学を卒業するまで」と期間を区切って、その数年だけ月々の保障を用意する。必要な時期に、必要な分だけ、掛け捨てで。三角形の保険の思想そのものですよね。

一生涯の大きな保険に入る必要はありません。谷の深さと長さに合わせて、ピンポイントで埋めればいい。

共働きならではの注意点も2つ

  • 妻(配偶者)自身が会社員で働いている場合、自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金は、原則どちらか有利な方の調整になります。共働きは「遺族年金をあてにしすぎない」前提で必要額を考えたほうが安全です
  • 自営業・フリーランスには、そもそも2階(遺族厚生年金)がありません。会社員のうちは手厚い2階がある一方、働き方が変わると保障も変わる点は、頭の隅に置いておきましょう

(遺族厚生年金には、子のない妻への中高齢寡婦加算など、さらに細かい仕組みもあります。ご自身の正確な受取額は、ねんきんネットや年金事務所で確認するのが確実です。)

収入保障保険のデメリット|向かない人はこんな人

いいことばかり書いてきましたが、フェアにデメリットも。

  • 掛け捨てです:満期金や解約返戻金はありません。ただ、これは「安さの理由」でもあります。貯蓄は貯蓄、保障は保障と割り切る考え方です
  • 十分な資産がある人には不要:遺された家族が資産と自分の収入で暮らしていけるなら、そもそも死亡保障は最小限で構いません。保険は「不足を埋める道具」であって、入ること自体が目的ではないので
  • 健康状態・喫煙で保険料が変わる:健康な非喫煙者は保険料が安くなる商品が多いです
  • インフレにやや弱い:「月15万円」の価値は、物価が上がると実質目減りします。長期の契約では頭の隅に置いておく点です

よく混同される「就業不能保険」との違い

名前が似ているせいで、とてもよく混同される保険があります。就業不能保険です。実際、代理店時代もこの2つを取り違えているお客様は多くいらっしゃいました。

違いはシンプルです。「亡くなったとき」に備えるのが収入保障保険、「生きているけど働けないとき」に備えるのが就業不能保険。

収入保障保険 就業不能保険
保障される場面 死亡・高度障害のとき 病気やケガで長期間働けないとき
受け取る人 遺された家族 本人
先に確認すべき公的保障 遺族年金 傷病手当金・障害年金

この記事で扱っているのは前者の「収入保障保険」です。どちらを検討する場合も順番は同じで、まず公的保障を知ってから、足りない分だけ民間保険で埋める。この鉄則は変わりません。

元代理店員として、今の私が考えていること

📝 わが家の話

私は今、夫の収入保障保険を再検討している最中です。売る側だった私が、入る側として悩んでいる。

きっかけは、子どもの進学が近づいてきたこと。前述の「公的保障の谷」がわが家にも見えてきたからです。だから私が探しているのは、一生涯の大型保障ではありません。子どもが独立する(大学を卒業する)まで、その数年の谷だけを埋める、必要最小限の収入保障です。

代理店時代、保障を掛けすぎている家庭も、掛け違えている家庭も、たくさん見てきました。
不安をあおられて大きな保険に入るのではなく、制度の穴(=公的保障で足りない部分)を計算して、そこだけを民間保険で埋める
これが、プロとしても、一人の親としても、私がたどり着いた考え方です。

保険は感情ではなく、引き算で選ぶもの。「いくら不安か」ではなく「いくら足りないか」で決める。ここだけは、て声を大にして言いたいところです。

必要な月額は「引き算」で決める

最後に、月額の決め方の考え方だけ。ざっくりこうです。

保険で用意する月額
=(遺族の毎月の生活費+教育費)
−(遺族年金+遺された側の収入+資産の取り崩し)

つまり、足りない差額だけを保険で埋めればいい。共働きで配偶者に収入があるなら、その分だけ必要な保障は小さくなります。この具体的な計算方法は、次の記事でじっくり解説します。

よくある質問

Q1. 掛け捨てはもったいなくないですか?

「何もなければ払い損」に見えますが、掛け捨てだからこそ保険料が安く、浮いたお金を貯蓄や投資に回せます。保障と貯蓄を1つの商品で兼ねようとするほうが、トータルでは高くつくケースが多い——これが私の正直な感想です。

Q2. いつまで保障をつければいいですか?

「末子が独立する(大学を卒業する)まで」が一つの目安です。65歳満了などの長い契約もありますが、保障が必要な理由が「子どもを育てるお金」なら、子どもの独立に合わせて期間を区切るほうが保険料を抑えられます。

Q3. 専業主婦(主夫)にも必要ですか?

収入がない配偶者でも、亡くなれば家事・育児を外部サービスに頼る費用が発生します。
ただし優先順位は収入のある側より低く、金額も小さくて構いません。
まずは家計を支える収入に対する保障から考えましょう。

まとめ

✅ この記事のポイント

  • 収入保障保険=遺族に「毎月のお給料」が届く、掛け捨ての死亡保険
  • 三角形の保障が必要保障額の減り方に寄り添い、保険料が安い
  • 共働きは「2本の柱それぞれの補強」で考える
  • 大学期は遺族基礎年金が切れる「公的保障の谷」。期間を区切った収入保障で埋められる
  • 「働けないとき」に備えるのは別物の就業不能保険。混同に注意
  • 保険は引き算で。不安ではなく、不足額で決める

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※記事中の金額・年数は説明のための仮の例です。遺族年金の金額は年度により改定されます。正確な情報は日本年金機構の公式サイトやねんきんネットでご確認ください。

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