「iDeCo、始めたはいいけど…出口ってどうなってるの?」
入口の話はよく聞くんです。「掛金が全額所得控除でお得!」って。なのに出口の話になると、急に難しい言葉が増えませんか。
退職所得控除、一時金、10年ルール…。読んでいるうちに眠くなって、そっとタブを閉じる。
私も何度もやりました。「出口がよくわからないまま、毎月淡々と引き落とされている」という方、実はかなり多いはずです。
しかも私の場合、46歳でiDeCoを始めて、転職して企業型DC(会社版のiDeCoのようなもの)に移って、その会社を2年で辞めてまたiDeCoに戻って——という行ったり来たり。
「私のお金、結局どうなるの?」が長いことわからないままでした。
でも、ひとつずつほどいてみたら大丈夫でした。出口で考えることは、たった3つの質問に答えるだけだったんです。
- いつ受け取る?
- どうやって受け取る?
- 税金はいくらまで無料?
この記事では、この3つを順番に、私の実際の数字を使いながらお話しします。難しい言葉が出てきたら、わかりやすくお話しします。
この記事でわかること
・受け取り開始は60〜75歳で自由に選べること
・受け取り方3択と、多くの人の本命が「一時金」である理由
・非課税の枠「退職所得控除」の計算方法(電卓1つでできます)
・転職してiDeCoと企業型DCを行き来した場合の扱い
質問①:いつ受け取る?|答え「60〜75歳の間で、好きなとき」
まず、いちばん多い誤解からほどきます。
iDeCoは、60歳になったら必ず受け取るものではありません。
受け取り開始は60歳から75歳までの間で自由に選べます。60歳を過ぎたら、掛金を止めて運用だけ続けることもできます(私はこれを「寝かせておく」と呼んでいます)。
しかも2026年12月の制度改正で、加入できる年齢が70歳未満まで広がります。
公的年金やiDeCoの老齢給付をまだ受け取っていないなどの条件を満たせば、70歳まで掛金を出し続けることもできるようになるんです。
イメージとしては、iDeCoの出口は「60歳の崖」ではなくて、「60〜75歳のあいだ、いつでも降りられる長いスロープ」。
40代の私たちには、まだ10年以上の考える時間があるということです。焦らなくて大丈夫。
このスロープ、実はとてもありがたい仕組みです。もし60歳の受け取りが強制だったら、たまたまその年に相場が大きく下がっていても、安くなった資産を売るしかありません。
時期を選べるということは、相場の悪いタイミングを避けて待てるということ。
働き方や退職金のタイミングに合わせて調整できるのも、後ほどお話しする税金の面で効いてきます。
質問②:どうやって受け取る?|答え「3択。主流は一時金」
受け取り方は3つあります。
| 受け取り方 | イメージ | 税金の扱い |
|---|---|---|
| ①一時金 | まとめてドン | 「退職金」と同じ扱い(控除が大きい) |
| ②年金形式 | 5〜20年の分割 | 「年金」と同じ扱い |
| ③併用 | 一部ドン+残り分割 | ①と②のミックス |
どれを選ぶかで手取りが変わるんですが、多くの人の本命は①一時金です。
理由はただひとつ、「退職所得控除」という大きな非課税の袋が使えるから。
年金形式にも「毎月のお給料のように受け取れて使いすぎない」という良さはあります。
ただ、受け取るたびに振込手数料がかかったり、公的年金と合わせた金額次第では税金や社会保険料に影響したりと、細かい注意点が多めです。
まずは一時金を軸に考えて、年金形式は「袋に入りきらない分の調整役」くらいに捉えておくとシンプルですよ。
ちなみに、この選択は今日決めなくて大丈夫です。受け取り方は、実際に受け取りを申請するときに選びます。40代の今は「3択があって、本命は一時金らしい」とだけ覚えておけば十分です。
はい、さっき難しい言葉が出ました。「退職所得控除」。
これについてわかりやすくお話ししますね。
質問③:税金はいくらまで無料? 答え「40万円×続けた年数」
退職所得控除=「ここまでは税金ゼロで受け取っていいよ」という袋の大きさだと思ってください。
そして袋の大きさは、こう決まります。
袋の大きさ = 40万円 × iDeCoを続けた年数(20年まで)
(*21年目からは800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年))
長く続けた人ほど、1年の重みがむしろ増していきます。
ポイントは「続けた年数」で決まること。つまり——iDeCoは、続ければ続けるほど、非課税の袋が勝手に育っていくんです。
1年続けるごとに、40万円分の非課税枠が増えていく。積み立てているお金とは別に、です。
運用がうまくいくかどうかとは関係なく、年数だけで確実に育つ。ここがこの袋のいいところです。
私の袋を計算してみました
私は46歳スタートなので、こうなります。
- 60歳で受け取るなら14年 → 40万円×14年=袋は560万円
- 65歳まで続けるなら19年 → 760万円
- 70歳まで続けるなら24年 → 1,080万円
※ただし「70歳まで続ける」には、公的年金をまだ受け取っていないことなどの条件があります。
いつまで続けるかで、袋の大きさが最大500万円も変わります。
なお「70歳まで続けるなら24年」は、60歳以降に掛金を出し続けた期間も袋の年数にカウントされる、という前提の計算です。
この計算をした日、iDeCoが「よくわからない不安な箱」から「育てがいのある袋」に見え方が変わりました。電卓ひとつでできるので、ぜひご自身の年数でやってみてください。
ちなみに袋からあふれた分も、「あふれた分の半分にだけ課税」という優しめのルールなので、超えたら即・大増税ではありません。たとえば袋が560万円の人が600万円を受け取った場合、あふれた40万円の半分=20万円にだけ税金がかかる、というイメージです。
まずは自分の袋の大きさを知ること。話はそれからです。
転職したことがある人へ 私がつまずいた3つの疑問

ここからは、転職経験のある方向けです。私はここで一番悩んだので、同じところで止まっている方のために書きます。
疑問①「転職してるから、袋が小さくなってるのでは?」
なっていません。 袋が小さくなるのは「過去に会社の退職金を実際に受け取った」場合だけ。
転職の回数は関係ありません。
私は退職金を一度も受け取ったことがないので、袋はまっさらなままでした。
「あれ、私、退職金もらったんだっけ?」と記憶が曖昧な方は、退職のときに「退職所得の源泉徴収票」という書類を受け取ったかどうかが目印になります。
疑問②「iDeCo→企業型DC→iDeCoって行き来したけど、昔の分はどこ?」
私はここが一番不安でした。答えはこうです。
- iDeCoの口座は1人1つだけ。だから行き来しても、お金は最終的に同じ1つの口座に集まってきます。迷子にはなりません
- 袋の計算に使う年数も、個人型・企業型の区別なく「掛金を出していた期間ぜんぶ」を合算。行き来しても途切れません
ひとつだけ注意があって、企業型DCの会社を辞めたあと6か月以内に手続きをしないと、お金が「自動移換」という宙ぶらりん状態になります。
運用されずに手数料だけ引かれ、年数のカウントも止まる、いいことなしの状態です。
退職時の手続きの記憶が曖昧な方は、確認だけしておきましょう。
確認の一番かんたんな方法は、電話です。
SBI証券のiDeCoなら、記録を管理している下記に確認してください。
SBIベネフィット・システムズ(0120-652-401(月〜土10:00〜18:00)
※制度の質問は平日がおすすめ)に
そしてこの一言。
「退職所得控除の計算をしたいので、私の通算拠出期間を教えてください」
これで袋の計算に使う正確な年数がわかります。ついでに「企業型DCからの移換金は反映されていますか?」と聞けば、昔のお金の合流確認まで一度に終わります。
疑問③「会社の退職金がある場合は?」
2026年から、iDeCoを先に一時金で受け取って10年以内に会社の退職金を受け取ると、袋が一部共用になる(=実質小さくなる)ルールになりました。
たとえば60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取ると、間隔は5年。
10年に足りないので、退職金側の袋が目減りする可能性があります。
退職金がしっかり出る会社の方は、受け取る順番と間隔の設計が必要です。
逆に、私のように転職して退職金が小さい見込みの人には、ほぼ関係のない話。退職金が小さい人ほど、袋を丸ごと自分のiDeCoのために使えます。 これ、転職組のささやかな特権です。
結局、40代の私たちが今やることは?
答えはシンプルで、2つだけです。
- 自分の袋の大きさ(通算拠出期間)を知っておく……電話1本、5分で終わります
- 淡々と続けて、袋を育てる……受け取り方の最終決定は、退職金や働き方が見えてくる50代後半でも間に合います。75歳まで延ばせるんですから
「今すぐ出口を決めなきゃ」と思わなくていいんです。決めるのは先でいい。でも、袋は今日も育っている。それがわかっていれば、iDeCoの出口はもう怖くありません。
そして50代後半になったら、そのとき改めてやることが2つ増えます。
・「10年ルールを踏まえて受け取る順番を決める」。
よくある質問(FAQ)
出口まわりで、私が調べていて「これも知りたかった」と思ったことをまとめておきます。
Q. 60歳になったら、すぐ受け取れますか?
A. 加入していた期間が通算10年以上あれば、60歳から受け取れます。10年に満たない場合は、受け取り開始できる年齢が61〜65歳に少しずつ繰り下がります。
40代でも遅めに始めた方は、自分の通算期間を確認しておくと安心です(前述の電話で一緒に確認できます)。
Q. 急にお金が必要に。60歳より前に引き出せますか?
A. 原則、できません。iDeCoは「老後のお金に鍵をかける制度」なので、途中で引き出せないのは弱点であり、同時に強みでもあります。
だからこそ、掛金は「当面使わないお金」の範囲で設定するのが大前提です。教育費など途中で使う可能性があるお金は、NISAの方に置いておきましょう。
Q. 受け取らずに「寝かせておく」間、お金はどうなりますか?
A. 非課税のまま運用が続きます。ただし口座管理の手数料(月数十円程度)はかかり続けるので、「寝かせる=完全に放置」ではなく、年に1回くらいは残高と運用状況を見てあげてください。
受け取りが近づいてきたら、値動きの大きい商品から安定的な商品へ少しずつ移す、といったお手入れも出口戦略のうちです。
Q. 夫婦で入っている場合、袋はどうなりますか?
A. 退職所得控除は1人ずつ計算されます。夫婦それぞれがiDeCoに入っていれば、非課税の袋も世帯に2つあるということ。片方に掛金を寄せるより、2人で続けたほうが世帯全体の袋は大きく育ちます。
まとめ
- 受け取りは60〜75歳の「長いスロープ」。60歳の崖ではない
- 受け取り方は3択。主流は一時金×退職所得控除(非課税の袋)
- 袋の大きさは「40万円×続けた年数」。続けるほど育つ
- 転職しても、退職金をもらっていなければ袋は減らない。企業型DCとの行き来も年数はつながる
- 今やるのは「袋の大きさを知る」と「育て続ける」の2つだけ
出口の話は、一度ほどけてしまえばもう怖くありません。次に「10年ルール」や「退職所得控除」という言葉を見かけたら、「ああ、袋の話ね」と読み流せるはずです。それだけで、この記事の元は取れたと思います。
そもそもiDeCoとNISAのどちらを優先するか迷っている方は、こちらからどうぞ。


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