「みんな、毎月いくら積み立ててるんだろう?」
NISAを始めるとき、ほとんどの人がこれを検索します。私も気になって、金融機関の調査やアンケート記事をあれこれ調べたことがあります。でも、先に正直なことを言ってしまいますね。
平均で服のサイズを選ぶ人がいないのと同じです。
収入も、子どもの年齢も、ゴールまでの残り時間も、家庭ごとに全部違うから。
40歳・子ども2人・これから教育費の山が来る家庭と、50歳・子育て卒業間近の家庭では、出せる金額も必要な金額もまるで違います。
「平均は月3万円くらいらしい」に合わせるのは、みんなの平均サイズで服を買うようなものなんです。
じゃあどう決めるのか。答えはシンプルで、ゴールから逆算する。この1択です。
この記事では、逆算の3ステップと、目標額×期間ごとの毎月積立額がひと目でわかる早見表をご用意しました。あわせて、40代・50代の積立では「利回りより入金力が主役」になる理由と、入金力を上げる現実的な順番もお話しします。読み終わるころには「わが家は月◯万円」という自分の数字が持てるはずです。
逆算の3ステップ

積立額を決める式は、実はこれだけです。
むずかしい計算はあとで出てくる早見表に任せるので、あなたが用意するのは「ゴール金額」と「残り期間」の2つだけ。順番に見ていきましょう。
ステップ①:ゴール金額を決める
「老後のため」ではなく「◯◯万円」という数字にします。ここが曖昧だと積立額も曖昧になります。
なぜ数字が先なのか。「なんとなく不安だから貯める」には根拠がないので、家計が苦しくなった月や、相場が下がって怖くなったときに、あっさりやめてしまえるからです。逆に「65歳までに1,200万円。年金の不足分が月◯万円だから」と言えると、多少の値動きでは揺れなくなります。目標の数字は、続けるためのお守りでもあるんです。
老後資金の不足額の計算方法は、こちらの記事で夫婦の実例つきで解説しているので、まだの方はぜひ先にどうぞ。
【内部リンク:老後資金いくらいる?40代から始める不足額の計算と備え方】
ざっくり進めたい方は、仮でかまいません。「1,000万円」「1,500万円」あたりを置いて読み進めてください。あとで調整できます。
ひとつだけ注意点を。ここで決めるのは、老後まで使わないお金のゴールです。数年後に使う予定の教育費や住宅のお金は、この計算に混ぜないでくださいね。使う時期が違うお金は袋を分ける。これが家計の鉄則です。
ステップ②:残り期間を数える
60歳(または65歳)まであと何年か。45歳なら60歳まで15年、50歳なら10年。この「残り時間」が、40代・50代の積立設計でいちばん効いてくる変数です。
「もう15年しかない」とため息が出た方、ちょっと待ってください。積み立てたお金は、60歳になった瞬間に全部使うわけではありません。その後の20年、30年をかけて少しずつ取り崩していくお金です。つまり運用期間そのものは、実はもっと長い。60歳以降も働いて積立を続ける選択だってできます。だから「15年しかない」ではなく「15年もある」。ここは前向きに数えて大丈夫です。
また、期間は60歳にこだわらなくてもかまいません。65歳まで働くつもりなら、45歳の方は「20年」の列で見てOK。同じ目標額でも、期間が5年のびるだけで月々の負担は3割ほど軽くなります。
ステップ③:利回りは控えめに見積もる
3つ目は利回り(お金が1年で何%ふえるかの見込み)です。
シミュレーションでよく見かける「年利7%」は、過去の米国株式の長期平均に近い数字ですが、これからの10〜15年が同じである保証はどこにもありません。7%前提で計画して実際が4%だったら、計画そのものが崩れてしまいます。
私は3%(手堅め)と5%(標準)の2本立てで見ることをおすすめしています。全世界株式や米国株式のインデックスファンド(市場全体にまるごと投資するタイプの投資信託)を長期で持つ場合の、欲張りすぎない現実的なラインがこのあたりだからです。控えめな想定で計画して、実際がそれを上回ったら「うれしい誤算」。逆よりずっといいですよね。
【早見表】毎月いくら積み立てれば届く?
目標額と残り期間が決まったら、あとは表を見るだけです。金額は毎月の積立額(月複利で計算、100円単位に四捨五入した概算)です。
年利3%で運用できた場合
| 目標額 | 10年 | 15年 | 20年 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 月35,800円 | 月22,000円 | 月15,200円 |
| 1,000万円 | 月71,600円 | 月44,100円 | 月30,500円 |
| 1,500万円 | 月107,300円 | 月66,100円 | 月45,700円 |
| 2,000万円 | 月143,100円 | 月88,100円 | 月60,900円 |
年利5%で運用できた場合
| 目標額 | 10年 | 15年 | 20年 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 月32,200円 | 月18,700円 | 月12,200円 |
| 1,000万円 | 月64,400円 | 月37,400円 | 月24,300円 |
| 1,500万円 | 月96,600円 | 月56,100円 | 月36,500円 |
| 2,000万円 | 月128,800円 | 月74,800円 | 月48,700円 |
※税金・手数料は考慮していません。NISA口座なら運用益は非課税です。
使い方は、目標額の行と残り期間の列がぶつかるマスを見るだけ。たとえば45歳の方が「60歳までの15年で1,000万円」を目指すなら、年利5%で月37,400円、手堅く3%で見るなら月44,100円。「わが家の目安は月4万円前後なんだ」——ここで初めて、平均ではない自分の数字が手に入ります。
この表、じっと見ていると2つのことに気づきます。
気づき①:期間が2倍になると、必要額は半分以下になる。 1,000万円を5%で目指す場合、10年なら月6.4万円、20年なら月2.4万円。複利(利益がさらに利益を生む仕組み)は、時間をかけるほど働いてくれるからです。思い立った今が、残り時間がいちばん長い日。始めるなら早いほうがいい理由がこれです。
気づき②:でも、期間10年だと利回りの差があまり効かない。 1,000万円・10年の場合、3%でも5%でも月6〜7万円で大差なし。期間が短いと複利が育つ前に終わってしまうので、利回りではなく入金力が主役になるんです。
40代・50代の積立は「入金力」が主役
ここ、40代以降の私たちにとっていちばん大事なところです。
20代向けの投資本には「月5,000円でもいいからコツコツ」と書いてあります。あれは40年という時間があるから成立する話。月5,000円でも40年・年利5%なら約760万円に育ちますが、同じ条件で15年だと約134万円。残り10〜15年の私たちが同じことをすると、ゴールに届きません。
かといって、利回りを欲張って(7%、10%と)リスクの高い商品に手を出すのは、いちばんやってはいけない方向です。期間が短いほど、暴落から回復を待てる時間もまた短いのですから。同じ「資産が半分になる暴落」でも、20代で遭うのと55歳で遭うのとでは、家計への意味がまったく違います。
40代・50代の合言葉はこれです。
入金力とは、毎月投資に回せる金額のこと。利回りは市場が決めるもので、私たちにはコントロールできません。でも入金力は、家計の工夫で確実に増やせます。自分でコントロールできるものに集中する——残り時間が短い世代の、いちばん合理的な戦い方だと私は思っています。
入金力を上げる、現実的な順番
「そんなこと言っても、月4万も5万も出てこないよ」という声が聞こえてきそうです。わかります。だからこそ、順番が大事です。食費を切り詰めるようなガマンの節約から入ると、続きません。がんばらなくても効き続ける仕組みから手をつけます。
- 固定費の見直し
保険・通信費・サブスク。ここは一度見直せば、あとは何もしなくても毎月効き続けます。
スマホを格安プランに変えるだけで家族で月1万円変わることも珍しくありませんし、わが家は貯蓄型保険の見直しだけで年約30万円浮きました。
月換算で約2.5万円——早見表の数字がひとつ、現実に近づく金額です。
【年約30万円節約】貯蓄型保険を見直すべき理由】 - 先取りの仕組み化
残ったら積立、ではなく、先に積立。
給与日に自動で積立が動く設定にしてしまいます。
意思の力に頼る家計は、疲れている月に必ず崩れます(私も何度も崩れました)。
仕組みにすれば、がんばらなくても続きます。
【給与もボーナスも同じ仕組みで貯まる!目的別口座と自動振替】 - ボーナスの配分ルール
月々で足りない分はボーナスで補完します。
年2回のボーナスから各15万円回せれば、月換算+2.5万円。「月6万円は無理。でも月3.5万円+ボーナス30万円なら」と組み合わせで考えると、急に現実的になりませんか。
【ボーナスが入ったら最初にやること5選】
そしてひとつ、どうしても言っておきたい一線があります。
生活防衛資金(生活費の6か月〜1年分の現金)を削ってまで積立額を増やさないこと。
この現金があるから、急な出費や収入の変化があっても積立を売らずに済みます。
表の数字に届かないなら、積立額をがんばるのではなく、目標額か期間の方を調整してください。積立は、続けられる金額でしか続きません。
わが家の場合|フェーズで積立額は変わっていい
参考までに、わが家の考え方も。うちは積立額を固定していません。教育費の山が来る前は多めに、山の真っ最中は無理せず細く、山を越えた今はまた厚く——と、家計のフェーズに合わせて変えてきました。
積立というと「一度決めた金額を何十年も守り続けるもの」というイメージがあるかもしれません。でも実際の家計は生き物です。子どもの進学、車の買い替え、親のサポート、自分の働き方の変化。10年もあれば、お金の風景は何度も変わります。その変化に合わせて金額を動かすのは、挫折ではなく調整です。
一度決めた積立額を守り抜くことより、やめないことの方がずっと大事。NISAはいつでも金額変更・停止・再開ができるので、この柔軟さを遠慮なく使ってください。金額は人生のフェーズで変わっていい。この考え方は、NISAとiDeCoの優先順位の話とも根っこが同じです。
よくある質問

Q1. 家計が苦しい月は、積立を減らしたり止めたりしてもいい?
もちろんです。「やめる(解約して手放す)」と「休む(積立だけ一時停止する)」は全然違います。休んでいる間も、それまで積み立てた分は運用され続けます。金額の変更や停止は、証券会社のサイトやアプリから数分で手続きできます。苦しいときに休むのは挫折ではなく、長く続けるための戦略です。
Q2. 夫婦の場合、どちらの名義で積み立てるのがいい?
NISA口座は1人1口座ずつ持てるので、余裕があれば夫婦それぞれで持つのがおすすめです。非課税の枠が世帯で2倍になります。NISAは掛金の所得控除がない制度なので、収入の高い低いで税制上の損得はほぼ出ません。管理しやすい方、貯めるのが得意な方の口座から育てていきましょう。
Q3. 60歳が近づいてきたら、ずっと株のままでいい?
ゴールの5年前あたりから、少しずつ現金や値動きの小さい資産の割合を増やしていくのが定石です。いちばん怖いのは、使う直前の暴落。「使う時期が近いお金から順に、安全な場所へ移す」と覚えておいてください。
まとめ|今日やることは3つ
- 目標額を仮でいいので決める
- 早見表で「わが家の月額」を見つける
- 届かなければ、固定費と仕組みから入金力を作る(目標か期間の調整もあり)
「わが家は月◯万円」。この数字が決まると、投資は「なんとなく不安なもの」から「計画どおりに進んでいるか、ときどき確認するだけのもの」に変わります。そして数字はいつでも変えていい。完璧な計画より、続けられる計画。平均を検索する日々は、今日で卒業です。
自分の数字が決まったら、次は「何を買うか」です。投資信託のやさしい選び方はこちらの記事でどうぞ。
これから口座を開く方は、私も使っているSBI証券が手数料・商品数ともに使いやすいですよ!


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